2017/01/08 (Sun) 岸田秀、橘玲の著作

自分がこれまでに最も大きな影響を受けた本と言えばまず、20代のモラトリアム期に夢中で読んだ、精神分析学者 岸田秀の一連の著作です。

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特に代表作「ものぐさ精神分析」は、月並みな表現ではありますが、読んだ後「世界を見る目が変わった」と言っていいでしょう。ドラえもんから特殊なメガネをもらったような感覚。その後の彼の著作は、自身が「二番煎じ」「出がらし」と表現している通り、この「ものぐさ精神分析」の派生作品、スピンオフと言ってよいと思います。それでも大ファンである俺はそのほとんどを追っかけたんだけどね。

彼の思想は「全ては幻想である」という考え方から出発し、世の中のありとあらゆる事象が遡上に上り、見事に美しく「説明」されています。「辻褄が合う」という事は実に気持ちのいい事です。書店の棚には、身の回りに起こる数々の困難に対する対処療法的なハウツー本が腐るほど並んでいますが、急がば回れ、きちんと真因と向かい合い、それを踏まえて自分で考え、対処した方がいいですよ。




さて、そんな名著でも、さすがに科学的な知見に関してはいささか古さを帯びてきます(大筋は相変わらず魅力的ではあるけれども)。20代で出会った本をバイブルのように抱きしめ続けるのにも気恥ずかしさが漂うようになった頃、人生2度目の衝撃とも言える本に出会いました。

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それが橘玲「残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法」です。彼の著作はなぜかどれもタイトルがゲスいのが本当に惜しい。本屋で手に取ったり、こうして紹介したりするのが若干恥ずかしいとすら思います。

しかし、内容はまさに知的興奮の連続。彼の語り口は、「遺伝(進化論)の絶対性」「市場原理を基にした冷徹なものの見方」の二つが軸になっているように思います。彼自身がその一連の著作の冒頭でたびたび注意喚起している通り、世に蔓延する「きれいごと」に毒されている人にとっては、「読んだら不愉快になる書物」なのですが、そのきれいごとに薄々違和感や疑念を抱いている向きにとっては快哉を叫びたい内容。この世界の残酷な描写に気分が暗くなるという感想も多く見られますが、俺の場合は逆にすっきりして明るくなりました。「やっぱそうだよな~」となり、明日へのエネルギーが湧いてきます。遺伝的に知能が低かったり才能がなかったりする人もどう生き延びれば良いか、その対応策がちゃんと書かれてるし、希望の光と優しさはちゃんと含まれてます。

彼の著作にハマったきっかけは、昨年のベストセラー「言ってはいけない」をゲスい好奇心で手に取った事。そこから過去の著作を図書館で手当たり次第にあたったのですが、どうやらその代表作と言えそうなのがこの「残酷な世界で~」だったのです。昨年は個人的にとても多くの自由時間があり、(会社を辞めての)転機にこのような刺激的な良書に出会えて本当に良かったと思ってます。

因みに、アマゾンのレビューには多くの誤読が含まれているので要注意。これほど平易に書かれているのにも関わらず、なぜこんなに多くの人間が誤読をするのか不思議。否定的な感想だけでなく、肯定的な感想にも誤読が含まれています。是非ご自分の目で実際に読んでもらいたいと思います。













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2016/11/30 (Wed) 民俗学者:宮本常一

俺のアイドル、民俗学者:宮本常一。愛機オリンパス・ペンを持って日本中をフィールドワークし続け、膨大な記録を残した。漂泊民・被差別民や性について赤裸々に描写したため当時は冷遇された、というエピソードがイカす。

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俺は宮本の著作「山に生きる人々」で「サンカ」や「マタギ」という語を知ったんだけど、それ以来、山中の道なき道を歩いていて住居跡を見つけると、そうした山の民が一体ここでどんな暮らしをしていたのか、思いを巡らすようになった。

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最近よく遊んでる瑞浪の屏風山の尾根上には、そうした住居跡が点在していて面白いんだよね。

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この「塩の道」は、過去記事にて紹介済み。

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この「忘れられた日本人」は、彼の代表作。

俺も郷土資料などで古道なんかの情報を収集して実際に辿ってみたり、山中の登山道ではない所を歩いてみたりするけど、そうした遊びって、現代人が失ってしまった精神性や身体性を取り戻す作業なんじゃないかと思うんだよね。





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2016/11/07 (Mon) 推薦図書「冒険登山のすすめ」米山悟 著

ワークショップ「土岐市 探検ウォーキング」ですが、予想を上回るペースでお申込みをいただき、既に定員の3分の2に達しまして、急遽定員を10名増やしました。当初は予定していたなかったマル秘の「助手」も参加します。

ご検討中の方はお急ぎ下さい!




ワークショップの開催前という絶好のタイミングで、まるで推薦図書とでも言うべき本を見つけました。

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「冒険登山のすすめ」米山悟 著

「冒険登山」などと言われるとビビってしまうかも知れませんが、書かれている事の中にはすぐに真似できるような事から、文字通りの高度な技術までいろいろあります。かくいう自分も、雪山装備ゼロなのでイグルー(雪で作った簡易住宅)山行はすぐにはできないし、手で尻を拭く排便もできません(笑)。「あ、これならやってみようかな」と思ったものだけまずは真似てみればいいと思います。

特に共感したのは、登山道や案内板が整備され、ガイドブックにまで載っているような有名な山は、「山」というよりむしろ「公園」という認識であり、自分んちの裏山のような低山であっても、自ら地形図を読み、最低限の装備で、知恵を使いながら登る事の方が登山の本質に近い、という部分です。人気の山が「公園」であるからには様々なルールがあるのは当然で、それに対し「素の山」は圧倒的に自由度が高く、自然と対峙する事ができます。

自然への畏怖を妨げるものとしてGPSの不使用も訴えています。あくまで地形図と方位磁針から位置同定をしよう、と。尾根は山頂に向かって収束していくので登りに使い、沢は下に向かって収束するので下りに使う、というのも納得。これらを逆に使うと、進むにしたがってどんどん枝分かれし、間違いやすくなります。

膝を打つことしきり、読後はすぐにでも近くの山に登りたくなりますよ。










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2016/05/07 (Sat) 【読んでみた】言ってはいけない 残酷すぎる真実(橘玲 著)

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何か目新しい事実が暴かれている、というわけではなく、「きっとそうなんだろうなぁ」って薄々思っていた事が、実は実験で証明されているんだよ、って教えてくれてる本。

それなのに、刺激的な書名や惹句でこんなに煽っているのは、「きっとそうなんだろうなぁ」って思ってなかった人にとって、ここに書かれている事が“不愉快な現実”だから。

・知能は遺伝する。
・精神病は遺伝する。
・犯罪は遺伝する。
・人種と知能は関係ある。
・経済格差の原因は知能の格差。
・「見た目」で人生は決まる。
・外見から知性は推測できる。
・美人とブスでは経済格差は3600万円。
・男女平等が妨げる「女性の幸福」。
・子育てや教育は子どもの成長に関係ない。


目次から適当に抜粋してみましたが、「きっとそうなんだろうなぁ」って思ってなかった人は、これ見ただけで反射的・感情的に「キーッ!」ってなるだろうね。

そういう人こそ、まぁ一度、読んだ方がいい。平易な文章で書かれてるからすぐ読めちゃうし。巻末には、その根拠となる参考文献がちゃんと載ってるし。反論はそれを読んだ上でしないと、ね。

エセ・フェミニストやエセ・リベラリストほど受け入れられないかと思いますが、一応自分の立場を書いとくと、自分は「朝日新聞を購読」し、「原発はやめた方がいい」と思うし、「戦争法案反対」だし、「アベ政治を許さない」し、「保育園落ちた(いや、落ちてはいないけど)日本死ね」だし、「ヘイトスピーチは撲滅すべき」と思ってるから、間違っても保守やウヨではないですよ。

ただ単に知的好奇心があって、偽善・欺瞞・キレイ事がイヤなだけ。

そして、これは自分の解釈・考え方なんだけど、同じ素質ならば、努力しないよりした方がマシに決まってるので、「素質“3”の奴が“5”の奴に勝とう」とか思うんじゃなく、「置かれた場所で咲きなさい(←未読だけどw)」っつー事なんだと思います。

更に、「幸せを感じる力」は、上記で抜粋した諸々の“真実”とはあまり関係ないと思うので、いくら知能(即ち経済格差)が遺伝しようとも、「金持ちなのに不幸な人間」もいれば、「貧乏なのに幸福な人間」もいるわけです。なので、あまり「キーッ!」ってならずに、現実を直視して対応した方が生産的だと思うのです。






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2016/04/20 (Wed) ヴィンテージの「暮しの手帖」

NHK朝の連ドラ「とと姉ちゃん」のネタ元として俄に脚光を浴びている「暮しの手帖」

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カミさんが生まれた当時と、自分が生まれた当時の号('72年初夏号と秋号)を引っ張り出してきました。

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ドラマの登場人物のモデルにもなっている花森安治、大橋鎭子、大橋芳子も編集者として名を連ねる、まさに全盛期だよね。

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グラフィックが秀逸なのは言うまでもないですが、内容もまた徹底して筋が通っており、伝えたい事が明確。彼らや、ミュージックマガジン創業者の故 中村とうようみたいな気骨のある編集者って最近なかなか見ないよねぇ。NHKのツイッター公式アカウントがクレームに簡単に屈してフォロー全解除とか、メディアの及び腰なニュースばかりで寂しい限りですなぁ。





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世界に愛と平和をもたらすために結成された名古屋発スーパーバンド『ビートエフスキー』
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現在充電中、名古屋のインディーズ・バンド『ニコルデカ』
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