SHM-CD、HQCDってどうよ?

ちょっとした音楽好きならば、最近タワレコなどで特設コーナーが設けられているのを見て気になっている人も多かろう。


SHM-CDやHQCDとは、ポリカーボネイトなどの(高級)素材を用いて製造されたCDの事で、従来のCDよりも素材の透明度が勝るため、信号の読み取り精度が高く、したがって、「音質が良い」との事である。SACDやDVDAと違い、規格自体は普通のCDなので、一般のCDプレーヤーでも再生できるのが売りだ。








ネットで調べてみても、効果のある・なしで議論が交わされているのが見られる。中には解析ソフトを使用して検証しているスキ者もいて面白いが、そもそもこんなもの、議論の余地もない。「素材によって読み取り精度が違う」ようであっては、デジタル・データの記録媒体として使い物にならないではないか。アナログではないのだよ、これは(笑)。



メーカーのやり方としてちょっと凄いなと思うのは、通常CDとSHM-CDとで同じ内容のものを2枚組サンプラーにして1000円という廉価で販売するという手法だ。

サンプラー

否定派の中には、「全く同じ内容ではなく、違うマスターを使っているのではないか?」とか「(SHM-CDの方の)レベルを上げて収録しているのではないか?」と疑う向きもあるようだが、そのような低レベルなごまかしはやっていない。そもそも今ドキは、上記のように解析ソフトを駆使するユーザーもゴロゴロいるわけだから、そんな事をすればたちまちバレてスキャンダルになってしまう。


内容(記録されている情報)は全く同じで、素材にポリカーボネイトを使用しているのも本当。で、スピーカーから出てくる音は「同じ」。それなのに堂々と「聴き比べて下さい!」と発売するところが「凄い」と思うのだ。ユーザーの「プラシーボ効果」に賭けているのだ。


「プラシーボ」とは「偽薬」の事。ただのビタミン剤なのに、医者から「よく効く睡眠薬です」と渡されて飲むと、(心理効果で)本当に眠くなる、というヤツだ。「高級素材で作られたCDです」と言われると、(心理効果で)本当に良い音に聞こえる、という事である。


メーカーが言っている「音がスッキリする!」とか「輪郭がくっきりする!」という謳い文句は、発毛剤や化粧品なんかで「効果には個人差があります」というのと同じで、実に曖昧な表現だ。「良い音が聞こえるか聞こえないかはアナタの耳次第」というオドシである。


「音は変わらない」とハッキリ言うユーザーは、デジタルの仕組みをちゃんと分かっている人か、そうでなくてもプラシーボ効果に惑わされない正直な人だ。だが多くの人は「大した違いはない」とか「この程度の違いでこの価格差は納得できない」という表現でお茶を濁している(笑)「駄耳」と言われるのが怖いのだろう。気持ちは分かる。


「全く違って聞こえる」という人は、メーカー関係者か、プラシーボ効果バリバリの人なのは間違いない。



このサンプラーCD、「ロック編」「ジャズ編」「ソウル編」「クラシック編」など数種類発売されていて、かなり売れているらしい。それだけ音楽ファンの関心が高く、「1000円なら試してみよう」という事だ。お得なオムニバスCDと評価する人もいるが、本当にそう考えて購入する分には結構だが、「音質を試そう」という趣旨なら、1000円であっても全くの無駄遣いである。もちろん俺は買ってない。音楽の内容そのものについて聴かずに評論するのは愚の骨頂だが、こんなオカルト商品は買うに値しない。「心霊商法の壷を非難するのは、その壷を買ってからにしろ」なんて事誰も言わないでしょ?








この「プラシーボ効果」はオーディオの世界ではかなりまかり通っていて、その最たるものが「ケーブルで音が変わる」というヤツ。しかし最近は「オカルト破り」の人たちも強力になってきて、ケーブルはもちろん、CDプレーヤーやアンプ(もちろんトランジスタ・アンプ)のオカルトも暴かれはじめた。



たびたび紹介している↓このサイトは最も説得力に富むので、ぜひ読んでみて欲しい。

『オーディオの科学』
http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/Audio.htm#Top



そして、最近発見した↓このサイトはさらに強力に「オカルト破り」を押し進めた最右翼。

『楽譜の風景』の中の「オーディオの部屋」
http://homepage1.nifty.com/iberia/column_audio.htm



思うに、「アナログ・プレーヤー」+「真空管アンプ」という「不完全な機器」の時代は、確かにどこを変えても音は変わったんだろう。しかし、技術が急速に進歩し、「CDプレーヤー」+「トランジスタ・アンプ」という「完成された機器」の時代である現在は、安価な機器でもかなりの品質だから、わざわざ高い機器を購入して散財する必要はない。上記『楽譜の風景』でも書かれている通り、残された「不完全な機器」はスピーカーだけなので、スピーカーにだけ投資したら良いのだ。(スピーカーに投資し、アンプはそのスピーカーを十分鳴らせる最低限のグレードのものを購入、CDプレーヤーはその辺の安物DVDプレーヤーで十分というのが私見だ)



ついでに、SACDなどは流通の不備を指摘するまでもなく、性能自体がオーバー・スペック(人間の可聴帯域外の音をいくら伸ばそうが無意味)で無用の長物である。









さて、オカルト・グッズ非難はこれぐらいにして、「CD」という規格内で、本当に良い音のCDを選ぶにはどうしたらよいか。


答えはズバリ、「リマスターCD」を買う事だ。「リマスター」と言ってもピンキリで、「リマスター=高音質と決めるのもどうか。趣味の問題ではないか」と言う人もいる。確かにそれはその通りだが、なにも音楽ファン全員がそのような厳密なマニアになる必要はない。大多数の人が、もっと気楽に良い音を聴きたがっているのだと思うから、ここはあまり眉間にシワを寄せず、「とりあえずリマスターCDを買おう」と言いたい。実際、リマスターCDは音質的に「アタリ」の確率はかなり高い。


見分け方は簡単で、CDのオビやケース裏面を探して「デジタル・リマスタリング」の文字を探せばよい。ビクターの「K2/20bitコーディング」シリーズやソニーの「マスターサウンド」シリーズなどはいずれもイイ。歴史的名盤となると、リマスターを何度も繰り返しているタイトルもあるが、’00年代のリマスタリングは総じてかなり優秀だ。’80年代にCDが出始めた頃の「とりあえずデジタル化しました」と言う時期のものと、’00年代の最新リマスターとでは雲泥の音質差がある。



タイトルによってリマスタリングの音質差の大小はもちろんある。例えば大好きなザ・バンドの1stのリマスター効果が凄かったので、期待して2ndも買ったらそうでもなかった、という事もあった。だから、「わざわざリマスターで買い直せ」なんてマニアックな事は言わない。が、初めて購入するタイトルで、リマスターとそうでないCDが200~300円の差ぐらいで並んでいたら、リマスターを買った方がいい。それぐらいの事は言っていいだろう。










コメント

SHM-CDが実質プラシーボであることは同意だが
「「素材によって読み取り精度が違う」ようであっては、デジタル・データの記録媒体として使い物にならないではないか。」
というのは勉強不足。そもそもCDは100%正確に読み取れる媒体ではない。

コメントありがとうございます。
(5年前の記事につき)興味・関心が今はありませんので、気の利いたお返事ができず、すみません。
貴殿のコメントを掲載する事で、誠意とさせていただきます。
あとはお読み下さる方がご自由に判断して下さって結構です。
ご了承下さいませ。
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Author:EYK
2つのバンドでドラムを叩いてます。
名古屋を中心に活動するインディーズ・バンド『ニコルデカ』
★2020/5/6(水祝)LIVE@大須ell.SIZE♪
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